【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 それでも先生は一時限目の授業があるのかさっさと教室から出て行ってしまう。

 止める人がいなくなって混沌は更に増した。


 混沌の中心には浪岡君。
 でも半分とばっちりに近い感じで私も巻き込まれてる。


 ……これ、どうやって収集つければいいの?


 怒涛の質問に答えることも出来ず、私はただただ頭を抱えた。

 黙々とお昼ご飯を食べている私の隣には笑顔の浪岡君。

 その周囲を女子生徒が囲んでいる。


 彼女達のお目当ては言うまでもなく浪岡君。
 可愛いとかキャーキャー言っている。

 浪岡君は困っている様子ではあるものの笑顔を崩さず対応していた。


 ……食べづらい……。


 自分が囲まれている訳じゃないけれど、すぐ隣に人だかりっていうのは結構食べづらかった。


「やっぱり有香の席に移動した方が良かったかも……」

 ウンザリした気分で呟くと、一緒にお弁当を食べていた有香が反応した。


「聖良が移動したら浪岡君も付いて来ちゃうんだから、結局は同じでしょ?」

 すでに諦めの体勢になっていた有香は、そう言うと一緒にお弁当を食べていた他の二人に視線をやる。

 二人ともお弁当そっちのけで浪岡君に話しかけている。

 同じ穴のムジナというか、何と言うか……。


 とにかく、有香以外の友達も周りの女子と同類になっていた。