【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 そのために誰か格闘技を教えてくれる人を探そう。

 そう硬く決意したのだった。

***

 そんな決意をしたけれど、色々と事後処理があるみたいでみんなしばらくはバタバタしていた。

 休みも終わり、文化祭の準備も本格化したこともあって忙しい毎日。


 格闘技を教えてと頼むのは勿論、あのお別れ会のことを詳しく聞くことも出来なかった。

 特に忍野君はどうなったんだろう。


 有香達からは二日後くらいに本人達から連絡が来た。

《カラオケの途中から記憶ないんだけどさー何かあったっけ?》
《ってかその少し前からちょっと記憶があやふやなんだよね》
《学校の皆もそういう人多くてさぁ。何かちょっとした怪奇現象になってるよ》

 と、笑っているうさぎのスタンプが届いて何だか安心した。


 この様子なら田神先生の言った通り、血が薄まってもとに戻ったってことだろう。

 でも、だからこそ続いた言葉が辛かった。

《でもまあ途中までは楽しかったし、また一緒に遊びに行こうね》

 ツキン、と心が痛む。

 また一緒に。

 それが無理なことだって分かっているから……。


 私は泣きそうになりながら、《そうだね》とだけ返した。



 その時、少しだけ忍野君のことも聞いてみたんだ。

 そしたら忍野君は、親の仕事の都合とかで急に転校していったらしい。