【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 てっきり転校のことを聞かれるのかと思っていた私は呆気に取られる。


 友達の転校よりイケメンが気になるとか、友達甲斐ないよ⁉

 ……ちょっと悲しくなった。


 軽く周りを見ると、有香達以外の女子もイケメンが気になるのか聞き耳を立てているみたいだ。

 何とも言えない気分で小さくため息を吐いた私は、仕方なく説明を始める。


「あの人達は城山学園の生徒で――」

 と、私の転校のことと今日から三日間彼が護衛する事になった経緯をかいつまんで話した。

「何それうらやましい!」

 有香の叫びの後にも「いいなぁ」とか「ホントに⁉」とかいう声が続いている。

 それと同時に転校のことを知らなかったほとんどのクラスメートが「転校って本当なの⁉」と騒めいた。


 聞き耳を立てていた女子だけでなく、男子も騒ぎに参加して最終的には他のクラスの生徒まで聞きつけて来る始末。

 次から次へと質問攻めにあう状態で、教室内は混沌としかけた。
 そうならなかったのはチャイムが鳴って担任の先生が来たからだ。

 もちろんすぐには収まらなかったけれど、他のクラスの生徒を帰し、みんなに席に着くように何度も促してやっとHRを始めることが出来た。


 先生は早口で出席を取ると、同じく早口で連絡事項を告げる。

 HRの時間があと少ししかないから急いでるんだろう。