どういう状況なのかと疑問を口から出す前に更に人が増える。

『聖良先輩!』

 同時に放たれた声は俊君と浪岡君のもの。

 悲痛な声と共に走ってきた二人はそのまま私に抱き着いてきた。


 ちょっと苦しかったけれど、良かったと思う。

 ケガとかはしていないみたいだったから。


「聖良先輩、すみません! また、守れなくて……」

「でも、無事で良かった……」

 自責の念と安堵の言葉。


 今度こそは守ると言っていたのにあんな状態になってしまった。

 自分を責めてしまいたくもなるだろう。


 でもたとえ押さえつけられずにいたとしても、有香達を人質に取られたら同じ状況になっていたと思う。

 あまり自分を責めすぎないで欲しいな。

 そう思ってされるがままでいると、正輝君のスマホが鳴った。

「あ、嘉輪? ああ。うん、戻って来てるよ」

 電話の相手は嘉輪の様だ。

 応対する正輝くんの声から察するに、悪い状況は回避することが出来たみたい。

 電話を切るとみんなに向かって報告してくれる。


「愛良ちゃんは無事に保護出来たみたいです。ケガもしてないって」

 ちゃんと言葉で伝えられて、私は勿論みんなも胸を撫でおろす。


 愛良も無事だと分かったことで、一先ず私は空いている部屋で休ませてもらえることになった。