【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 愛良は可愛いからまだ良いけど、私は平凡な顔だから余計キツい。


 丸顔だし、いつも眠そうな目してるって言われるし、髪は天パなのか癖っ毛なのか判別出来ない程度に緩くうねってるし。

 せめて私も愛良みたいに綺麗なストレートなら良かったのに……。


 まあ、こんな所で自分の容姿を嘆いても仕方ない。

 取り敢えずこの三日間耐えるしか無いよね。


 重い溜息を吐きながら、私は教室に向かった。



 ……っていうか、突然の転校や引っ越しで忙しいんだから、ギリギリまで登校する必要無いんじゃない?

 ふと気付く。

 でもどうなんだろう?
 転校なんて初めてのことだし、第一あり得ないくらい短い期間でのことだ。

 普通の転校がどんなものかも分からないし、今回の場合もその普通が当てはまるのかも分からない。


「……」

 結局、言われるままに学校来るしかないってことかな……?


 そんな風に考えているうちに教室に着いた。

 自分の席に向かいながら友達に「おはよう」と声をかける。

 すると席に鞄を置くと同時に、仲の良い友達が数人勢い良く近付いて来た。

「おはよう聖良。早速だけどさっき一緒に登校してきたイケメン誰⁉」

 友人一同を代表するかの様に有香(ゆか)が開口一番に叫んだ。