俊君を抑えている体格のいい男が答えたことで、岸は「これで良いだろ」と私の腕を引いて行く。
「お前だけついてこい」
岸は有香にそう命令すると、押しつぶされている俊君と浪岡君の前を通って部屋を出た。
「聖良、先輩……」
「うっくそっ!」
二人の悔しそうな声を聞きながら、彼らの様子を良く見ることも出来ず私は連れられて行く。
引かれて歩きながら考える。
私がこの状況ということは、愛良も無事ではないかもしれない。
愛良の状況が知りたいけれど、今連れて行かれているのは愛良と同じ場所なんだろうか?
カラオケ店の裏口から店を出る。
そのまま暗い裏路地を歩き、少し開けた場所に出た。
月明りが良く届いて、そこだけは街灯が無くても明るい。
「! お姉ちゃん⁉」
そこには愛良と愛良の友達。そして何故か鈴木君と数時間前に見かけたロングボブの茶髪美人がいた。
茶髪美人さんは私達に気付くと形のいい眉を軽く寄せ、可憐な唇を開く。
「岸、遅かったわね。……その子が劣化版の“花嫁”?」
劣化版って……。
「劣化版とか言うな。俺の女だ」
「っ!」
不意打ちの様な、私を擁護する言葉に息を呑む。
こんなやつに言われても嬉しくないけれど、ほんの少しだけ心が揺れた気がした。
……いや、気のせいだ。
「お前だけついてこい」
岸は有香にそう命令すると、押しつぶされている俊君と浪岡君の前を通って部屋を出た。
「聖良、先輩……」
「うっくそっ!」
二人の悔しそうな声を聞きながら、彼らの様子を良く見ることも出来ず私は連れられて行く。
引かれて歩きながら考える。
私がこの状況ということは、愛良も無事ではないかもしれない。
愛良の状況が知りたいけれど、今連れて行かれているのは愛良と同じ場所なんだろうか?
カラオケ店の裏口から店を出る。
そのまま暗い裏路地を歩き、少し開けた場所に出た。
月明りが良く届いて、そこだけは街灯が無くても明るい。
「! お姉ちゃん⁉」
そこには愛良と愛良の友達。そして何故か鈴木君と数時間前に見かけたロングボブの茶髪美人がいた。
茶髪美人さんは私達に気付くと形のいい眉を軽く寄せ、可憐な唇を開く。
「岸、遅かったわね。……その子が劣化版の“花嫁”?」
劣化版って……。
「劣化版とか言うな。俺の女だ」
「っ!」
不意打ちの様な、私を擁護する言葉に息を呑む。
こんなやつに言われても嬉しくないけれど、ほんの少しだけ心が揺れた気がした。
……いや、気のせいだ。



