分からないが、確かに聖良の血の強さは“花嫁”と言っても差し支えないほどだった。


 それに彼女は愛良さんの姉。
 同じく年は離れているが、少しは俺に近い。

 婚約者候補や彼女たちの護衛のまとめ役として任じられていたこともあり、チャンスだと思った。

 “花嫁”は吸血鬼に力を与えられる存在。
 その血は、どんな吸血鬼にとっても甘く芳しく、力を漲らせてくれるもの。

 そして、“花嫁”の産んだ子は純血種にも匹敵するほどの強い吸血鬼となる。

 そんな子の親となれば、吸血鬼のコミュニティでもっと上を目指すことが出来る。


 別にトップを目指しているわけじゃないが、色んなことを思い通りに運べるようになるため、もっと上を目指したかった俺には聖良の存在は丁度良かった。

 だから上には、とりあえずの方法として愛良さんが選ばなかった四人を聖良の婚約者候補とするように提案した。

 方針がちゃんと決定してしまう前に、俺が聖良の婚約者となれるように動くつもりだったが……。


「まさか、他の吸血鬼に手を付けられるとは……」

 岸永人。

 授業態度も不真面目で、問題児扱いされていた生徒。

 最近発見されている、吸血されて気を失っているH生の件。
 その犯人ではないかと目星をつけられていた男だ。