カラン、とグラスの中の氷が音を立てる。
深夜、少ない明かりだけを灯して自宅の書斎で俺は一杯やっていた。
『せ、ん……せい?』
数時間前にこの部屋にいた彼女――聖良を思い出す。
高等部を卒業したら覚悟しておくようにと伝えて指先に口づけた。
たったそれだけで真っ赤になってしまった様子を思い出し、フッと笑みが浮かぶ。
本気の恋も知らない、まだまだ純粋さが残る少女。
俺にとってはまだ子供と大差ないはずの彼女。
そんな彼女にまさか本当に恋をすることになるとは思わなかった。
「……いや、恋と言って良いものか……」
自分の想いの種類を突き詰めると、恋なんて可愛らしい言葉にしていいものか悩む。
初めは、ただの打算。
本物の“花嫁”である愛良さんにはハンター協会とも協議したうえで婚約者候補が決められていた。
そこには俺の入る余地はない。
ただでさえ愛良さんはまだ中学生だ。
一回りも年が離れている。
だから俺が“花嫁”を手に入れることは初めから無理なことだったんだと諦めていたんだ。
だが、聖良という存在が現れた。
愛良さんの姉で、紛れもなく“花嫁”の血筋。
普通であれば近しい間柄で同じくらいの強い血を持つ“花嫁”は現れない。
突然変異か、もしくは他に理由があるのか……。
深夜、少ない明かりだけを灯して自宅の書斎で俺は一杯やっていた。
『せ、ん……せい?』
数時間前にこの部屋にいた彼女――聖良を思い出す。
高等部を卒業したら覚悟しておくようにと伝えて指先に口づけた。
たったそれだけで真っ赤になってしまった様子を思い出し、フッと笑みが浮かぶ。
本気の恋も知らない、まだまだ純粋さが残る少女。
俺にとってはまだ子供と大差ないはずの彼女。
そんな彼女にまさか本当に恋をすることになるとは思わなかった。
「……いや、恋と言って良いものか……」
自分の想いの種類を突き詰めると、恋なんて可愛らしい言葉にしていいものか悩む。
初めは、ただの打算。
本物の“花嫁”である愛良さんにはハンター協会とも協議したうえで婚約者候補が決められていた。
そこには俺の入る余地はない。
ただでさえ愛良さんはまだ中学生だ。
一回りも年が離れている。
だから俺が“花嫁”を手に入れることは初めから無理なことだったんだと諦めていたんだ。
だが、聖良という存在が現れた。
愛良さんの姉で、紛れもなく“花嫁”の血筋。
普通であれば近しい間柄で同じくらいの強い血を持つ“花嫁”は現れない。
突然変異か、もしくは他に理由があるのか……。