【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 いつも上げている前髪を下ろしているせいか、普段より若く見える。


 普段とのギャップに靴も脱がずまじまじと見ていると、「どうした?」と聞かれた。

「あ、すみません。いつもと格好が違うのでちょっと驚いて……」

「格好? ああ、そうだな……ラフすぎるか?」

「え?」

 まさか感想まで聞かれるとは思わなかったから少し驚いたけれど、そこは素直に答える。


「いえ、いつもより若く見えるし良いと思います。格好良いですよ?」

 すると田神先生は「そうか」と優しく微笑んでくれた。


「っ!」

 いつもより若く見えて年が近い男の人の様に見えるから、そんな風に微笑まれるとちょっとドキドキしてしまう。


 そんな風に戸惑いながら促されるままにリビングで一息つく。

 出された紅茶を飲みながらリビングもシンプルで過ごしやすそうだなーとか思っていると、田神先生が立ち上がった。


「さ、そろそろ始めようか。零士はここでテレビでも見ていてくれ。聖良さんはこっちへ」

「あ、はい」

 私も立ち上がって田神先生に付いて行く。


 連れて来られた場所は見るからに書斎といった場所だった。

「散らかっていてすまない。こことリビング以外だとあと使える部屋は寝室くらいしかなくてね」