【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 ……はあ、一応詳しい場所聞いておいて良かったよ。

 零士が方向音痴だってことは初めから分かってたしね。



 でも本当に全く役に立たない。

 何で零士に護衛お願いしたんだろう、田神先生。


 本気で疑問に思いながら、私は先を行った。


 最後は近所の人にも聞いて確認しつつ、田神先生の家にたどり着く。


 どんなところに住んでるんだろうと思っていたけれど、一軒家だった。

 小ぢんまりとした可愛い家だったけれど、ここに一人暮らしか……。


 田神先生って恋人とかはいないのかな?

 いそうだけど……でもデートの約束してるとか聞いたことないしな。

 遠距離とか?


 なんて考えながらインターホンを鳴らした。

『……ああ、来たか。カギは開いているから入ってくれ』

 少しして田神先生の声が聞こえたので、私達は自分でドアを開けて入って行った。


 玄関からしてシンプルで清潔感がある。

 いつも前髪を上げてビシッと決めている田神先生らしい家だなって思った。


「少し遅かったな。まあ、上がってくれ」

 そう言って玄関に現れた田神先生――田神先生、だよね?


 いつものスーツ姿ではなくワイシャツとジーンズというシンプルな格好。

 だけどオシャレに着こなしている。


 それにも少し驚いたけれど、一番驚いたのは髪型だ。