【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 これなら私が実験台になった甲斐があるってものだ。


 こうして何ともなかったように愛良とも合流して廊下を歩く。

 今朝シャワー室に行ったことは突っ込まれなかったから、多分気付かれてなかったんだろう。


 ……良かった。


 そうしてエレベーターのところまで来ると、ここ数日顔を合わせていなかった弓月先輩がいた。


「あ、おはようございます。弓月先輩」

「ええ、おはよう」

 笑顔で対応してくれた弓月先輩に、愛良も私に(なら)う。


 でも、弓月先輩の視線が嘉輪と瑠希ちゃんに向けられると、空気が少し張り詰めたような気がした。

「弓月先輩、おはようございます」
「おはよう、ございます」

 嘉輪は……なんて言えばいいんだろう。
 本心を隠しているような……よそよそしい笑顔を見せる。

 瑠希ちゃんは笑顔が消え、関わりたくないという感情がありありと表情に出ていた。


 え? なに? 弓月先輩と嘉輪達って仲悪いの?


 そう思わずにはいられない雰囲気だった。

「おはよう、波多さん。鏡さん」

 弓月先輩の声も淡々とした、感情が乗っていないものになる。


 私は愛良と一緒にスススっと彼女達から少し離れる。

「……仲、悪いのかな?」
「……そう、見えるよね……?」