【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 でも襲いかかるとかじゃなくてあくまでグラつく程度ってことは、やっぱりV生よりはVH生の方が安全なんだろう。

「だから鏡には先に愛良ちゃんじゃなくて聖良に会ってもらったの。……守って貰う人、しかも友達にあんな目で見られるのはキツイでしょ?」

 と、悲しそうな嘉輪。


 だから私を実験台代わりみたいにしたってことかな。

 しかもそうしたことを気に病んでいるみたいだ。


 気にしなくていいのに。

「確かにそうだね」

 私は同意し、笑顔で続ける。

「愛良のこと考えてくれてありがとう、嘉輪」

「聖良……ごめんね」

「良いんだってば」

 まだ謝ってくる嘉輪に気にするなと念を押した。


「じゃあ、愛良ちゃん呼びましょっか!」

 先にいつもの調子に戻った瑠希ちゃんが明るく言うと、嘉輪も仕方ないなという様子の笑みを浮かべる。

「そうね、待たせちゃ悪いしね」

 瑠希ちゃんの明るさに、嘉輪もいつもの彼女に戻ってくれた。

 愛良の部屋のドアをノックすると、すぐに返事が返ってきて開く。

 愛良もスタンバっていたみたいだ。


「おはよう愛良ちゃん! 待たせちゃった?」

 瑠希ちゃんが明るい太陽みたいな笑顔で挨拶している。


 うん、さっき私に向けたような目や表情は欠片もない。