腕を掴まれている。
掴まれて、引っ張られて走っていた。
掴まれている腕から、モヤモヤムカムカした気分が広がる。
腕の先を見てみると掴んでいたのは零士だった。
『なに掴んでるのよ⁉ 離しなさいよ!』
怒りに任せてそう叫ぶと、零士はアッサリ手を離した。
そして無表情のまま口を開く。
『ああ、離してやるよ。元々守るつもりなんかないからな』
『え?』
どういうことか。
何のことを言っているのか聞き出そうとした。
けれど、離された腕が別の誰かにまた掴まれる。
『っ誰⁉』
反射的に相手を見て、私は硬直した。
『あんたを守る奴はいないんだな? 好都合。俺のにしてやるよ』
肉食獣の眼光を宿した岸が、そう言って動けない私をその腕に閉じ込める。
怖い。
金縛りにでもあったかのように指一本動かせない。
さっきまで近くにいたはずの零士はいつの間にかいなくなっていて。
私は妖しく笑う岸と二人きりになっていた。
ニヤリと笑う口元。
でも相反するほどに強く真っ直ぐに向けられた岸の眼差しに射抜かれる。
その強さに喉が引きつって拒絶の言葉を発したいのに出来なくなる。
このまま、私は岸の手の中に落ちていくんだろうか。
掴まれて、引っ張られて走っていた。
掴まれている腕から、モヤモヤムカムカした気分が広がる。
腕の先を見てみると掴んでいたのは零士だった。
『なに掴んでるのよ⁉ 離しなさいよ!』
怒りに任せてそう叫ぶと、零士はアッサリ手を離した。
そして無表情のまま口を開く。
『ああ、離してやるよ。元々守るつもりなんかないからな』
『え?』
どういうことか。
何のことを言っているのか聞き出そうとした。
けれど、離された腕が別の誰かにまた掴まれる。
『っ誰⁉』
反射的に相手を見て、私は硬直した。
『あんたを守る奴はいないんだな? 好都合。俺のにしてやるよ』
肉食獣の眼光を宿した岸が、そう言って動けない私をその腕に閉じ込める。
怖い。
金縛りにでもあったかのように指一本動かせない。
さっきまで近くにいたはずの零士はいつの間にかいなくなっていて。
私は妖しく笑う岸と二人きりになっていた。
ニヤリと笑う口元。
でも相反するほどに強く真っ直ぐに向けられた岸の眼差しに射抜かれる。
その強さに喉が引きつって拒絶の言葉を発したいのに出来なくなる。
このまま、私は岸の手の中に落ちていくんだろうか。