【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

「ノーマークだった花嫁姉がメッチャ可愛いらしい。って噂が一年にまで広まってましたよ?」

「三年もそんな感じ。見に行こうって休み時間に教室出て行ったやつ何人もいたわ」

 うんうんと頷いて津島先輩が言う。


 そこに浪岡君が「そうですよ」と加わった。

「中等部には流石に噂届くのが遅かったけど、放課後には『愛良ちゃんも可愛いけど、姉も違うタイプで可愛いんだって? お前見たんだろ、教えろよ!』ってな感じで質問攻めされました」

 それもあって助けに向かえなかったんですけど、と付け加えられる。


 それで足止めされたなら、少なくとも浪岡君が愛良を助けに行けなかったのは私の所為でもあるってこと?

 え? マジで? 冗談じゃ無くて?


「お前は波多とずっと一緒だから気付かなかったみたいだけどな。クラスの男子のほとんどがお前に話しかけたそうにずっとソワソワしていたぞ」

 同じクラスだった石井君にまでそう言われてしまう。


 って言うか、石井君ってこんなに喋れるんだ。
 こんな長文話すの初めて聞いたかも。


 それにしてもみんなが言っていることが信じられない。
 本当にそんな風になっていたんだろうか?

 まあ、他のクラスの人達も見に来てるのは気付いたけれど……。


「えっと、それって本当の事? 冗談じゃ無くて?」

 みんなが嘘を言っている様には思えなかったけれど、どうしても信じられなくて確認してしまう。


 そして返ってきたのは呆れの眼差し。

 うん、冗談では無いって事か……。