【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 となると浪岡君を呼んだ誰かっていうのも彼女達の手先かも知れないな、なんて推理してみる私。


 浪岡君も迂闊(うかつ)だったかも知れないけれど、いない時を狙われたら仕方ない部分もあるかな。


「でも高等部の近くまで来たんでしょ? 花嫁の気配は俺達みんな分かるんだから気付いて向かうべきだったのに……」

 俊くんの言葉で初めて私達、主に愛良の気配を彼らは感じ取れるって事を知った。


「なのに向かったのは零士と和也だけ。しかも間に合わなかったとか……」

 そして津島先輩の言葉で石井君も向かって来ていた事を知る。


 まあ、間に合わなかったんだからどっちにしろ意味は無いんだけど。

「まあ、私もちょっと言い過ぎましたし。みなさんが周りからどう思われているのかもちゃんと考慮(こうりょ)してくれればそれで」


 やっぱり私の言った言葉のせいでここまで落ち込んでるのかな? と思ったので、フォローとこの話はおしまいにしようという意味を込めてそう言ったんだけど……。


『……』


 何故か、みんな揃って無言でジッと見られた。

 見回すと、愛良も同じ目をして私を見ている。


 ……何だか既視感(きしかん)が……。


「あーうん。今回はこっちが悪いし、こんな事言いたく無いんだけど……」

 気まずそうにそう切り出す津島先輩。