【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 愛良と視線を合わせると、その目が語っていた。



 あーあ、お姉ちゃんが必要以上に非難するから。

 えっ⁉ でも守れなかったのはあっちでしょ⁉

 否定はしないけど、お姉ちゃんも八つ当たり入ってたでしょ?

 うっ! そ、それは……。


 視線だけの会話だから実際にそう言ったわけじゃないけれど、大体こんな感じであっているはずだ。


「どうしたんだい? どうぞ、座って?」

 ドアの所で立ったままでいる私達に、田神先生が促す。
 その声も少し気落ちしている様に聞こえるのは、田神先生の表情が申し訳なさそうだったからか。


 逆にこっちが申し訳なく思えてしまいそうな雰囲気の中、私達は座った。


 少しの沈黙の後、軽く息を吐いて田神先生が代表する様に口を開く。


「……今日の事は、すまなかった」

 そうして頭を下げられる。

 続いて他の面々も声を揃えて謝罪し、頭を下げた。

『すまなかった』
『すみませんでした』


 みんなに頭を下げられたこの状況。

 ハッキリ言ってドン引きだ。


 確かに愛良がケガをしたんだから謝罪くらいはあって当然だと思っていた。

 愛良を守るって言ってたんだから、ちゃんと守ってよって怒りも覚えた。