【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 そうして連絡先を交換したり他愛のない話をしているうちに愛良の頬の腫れも落ち着いてきたので、保健室の先生に処置してもらって三人で寮に帰った。



「あ、香月さん達。田神先生から伝言を預かってるわよ」

 部屋の鍵を受け取りに上原さんの所に行くとそう声を掛けられる。


「荷物を置いたらいつもの部屋に来て欲しいんですって」
「いつもの部屋、ですか?」

 いつも、って言うほどまだ使ってはいないけれど、話し合いをする時に使っている会議室の事だろう。


「あの会議室の事ですよね? 分かりました」

 私より先に愛良がそう返事をして、それぞれ鍵を受け取った。



 嘉輪の部屋も私達と同じ階だったらしく、エレベーターで八階まで一緒に行く。

「じゃあ、私の部屋ここだから」
 そう言って嘉輪が止まったのはエレベーターを降りてすぐ。
 801号室のドアの前だった。


「じゃあ後で温泉でね。ダメだった時は連絡して」
「うん、分かった」

 そうして嘉輪と別れた私達は自分の部屋に鞄を置いて会議室へ向かった。


 会議室のドアをノックして、「どうぞ」と言う声のあとでドアを開けると――。



 会議室の中でイケメンが揃ってどんよりとした空気を撒き散らしていた。


「……」
「……」

 愛良と二人、ドアの所で言葉も無く突っ立ってしまう。