【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 そして、その表情が決して楽し気なものじゃなかったから。


「聖良? どうしたの?」

 立ち止まった私に嘉輪が声を掛ける。
 私は集団から視線を外さないまま答えた。


「あそこに、愛良がいるの」

 指し示すと、嘉輪もそっちを見た気配がする。
 そして様子を探るように少し黙って見ていた。


「……あのストレートの髪の子ね。そこまで物騒な感じじゃないけど、だからって良い感じでもないわね」
 そう呟くと、嘉輪は「来て」と私の腕を引く。

「行きましょう。あっちから回り込めるから」
「嘉輪……ありがとう」

 まだ校内の構造に詳しくないから、嘉輪が案内してくれると本当に助かる。
 だから素直にお礼を言った。


 嘉輪に付いて行った先はある意味定番な校舎裏。
 中等部と高等部の校舎の丁度間辺りの場所だった。

 愛良を囲んでいるのは中等部の子と高等部の子が半々くらい。
 どうして高等部の校舎の方で愛良を見たのかと思ったけど、もしかしたら高等部の子の方に呼び出されたのかもしれない。


「……H生の子達ばっかりね。まずいかも」
 眉間にしわを寄せて呟く嘉輪の緊張感が伝わる。

「H生だとまずいの?」
 嘉輪に合わせて声を抑えて話す。


 H生、ハンターは守ってくれる人達じゃなかったの?