【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

「愛良が吸血鬼に狙われるって言うなら、吸血鬼が沢山いるこの学園も危険だってことなんじゃないんですか?」

 軽く深呼吸をしてから慎重に質問する。


 今まで守ってくれていたんだから愛良が嫌がる様な真似はしないとは思うけれど、今さっき自分たちも吸血鬼だと宣言したのは田神先生だ。
 彼らも愛良をどうこうしようと思っている可能性はある。


 私の警戒も伝わったんだろう。

 田神先生は安心させるためか騙すためか、優しく微笑んで口を開いた。


「確かに学園内でも危険はある。でも閉ざされた場所だから守る側にとっては目が届きやすいし、何よりここにはハンターもいるからね」

 吸血鬼だけなら危ないかも知れないが、それを取り締まるハンターもいるから守りは多いだろうとのことだ。


 そこまで聞いて、さっきランドリー室で弓月先輩が言っていたことが理解出来た。

 V生には気を付けて。

 V生って、多分ヴァンパイア……吸血鬼の生徒ってことだ。
 そりゃ気を付けてって忠告するよね。


 弓月先輩はHのピンブローチを付けていたからハンターの卵って事か……。

 まだ何も知らない私達に忠告するくらいだ。
 守ってくれようとしているんだろう。


 顔も知らない人達を信用する気にはなれないけれど、少なくとも弓月先輩は良い人だと思った。