【完全版】妹が吸血鬼の花嫁になりました。

 ぐるりと見回すと、入り口横に左右それぞれカウンターがあり少し年配の人がいる。


「……」

 何処のホテルだここは!


 ツッコミたい。
 大いにツッコミたいけれど声にならない。


 何か叫びたくても声が出てこない私達を津島先輩は右側のカウンターに連れて行った。

 一見ホテルのフロントにしか見えないそのカウンターには五十歳前後の女性がいた。

「上原さん。この二人が今日入寮する香月姉妹です」


 津島先輩は簡単に私達を紹介すると、続けて私達に彼女を紹介してくれる。

「この人は上原(うえはら) 雪乃(ゆきの)さん。女子寮の管理をしてくれてるんだ」


「香月 聖良です」
「香月 愛良です。よろしくお願いします」

 ペコリとお辞儀をして私達は挨拶した。

「初めまして、上原です。何か困った事や疑問があったら遠慮なく言って頂戴ね」

 柔和な笑顔でそう返した上原さんは、何だか近所のおばさんとかそんな感じの雰囲気の人だと思った。


 女子寮の管理人って事は、寮母さんって事かな?


 そんな風に考えていると、上原さんは鍵を2つ持ってカウンターから出て来る。

「さ、早速部屋に案内するわ。ついて来て」

「今三時前だから、三時半頃にここに戻って来てくれ。田神先生から色々と話があるから」