この感じ……やっぱり、私は櫂人先輩のことが……。


 息苦しいほどに胸が締め付けられるような喜びを自覚して、私は自分の気持ちを理解する。

 恋か憧れか分からないなんて……そんなの、答えなんて分かり切っていたようなものだったんだ。


 関わらない様にしようと思ったら寂しく感じた。

 怖いと思うのに離れたくないなんて、矛盾した気持ちが同居していた。

 そんなの、理屈なんか関係なく好きだからに決まってる。

 女性の首筋に吸い付くのを見て、モヤモヤしたのは嫉妬。

 今手を繋がれてドキドキしているのは嬉しいからだ。


 私の手を引いて前を歩く櫂人先輩の背中を見る。

 綺麗でカッコ良い、闇の化身みたいな怖い人。

 吸血鬼だし、確か暴走族の総長をしているって聞いたし、危険な香りのする人。

 それでも、この気持ちを自覚してしまったら、もう戻れない。


 出会ってから二日しか経っていないとか、そんなことは関係ない。

 私は櫂人先輩が好き。

 どうあっても惹かれてしまうこの気持ちは、もう覆すことなんて出来なくなっていた。