闇の総長はあたらよに運命の姫を求める

 すぐに一緒に探してくれようとする櫂人先輩。

 私の説明を聞きながら周囲を見回していた彼は、一点に目を留めてそちらの方へ向かう。

 ビールケースや段ボールが積み重なっている辺りの隅で、何かを拾うように屈んだ。


「これか?……って、これは……」

「それです!」


 拾って見せてくれたそれは確かに私の貝殻だった。

 思わず飛びつくように櫂人先輩の手を掴み、貝殻が欠けていないかよく見てみる。

 少なくとも、大きく欠けていたり割れていたりはしていなくてホッとした。