闇の総長はあたらよに運命の姫を求める

「あの……櫂人先輩?」

「ん? ああ……治ったぞ」


 小さく呼び掛けると、ハッとして腕を離してくれる。

 でもジッと見る対象がひじから私に移っただけだった。

 その視線にはさっき感じたような冷たさはない。

 でも優しいというのとも違っていて……。

 何となくいたたまれない気分になった私は、櫂人先輩の視線を誤魔化すように話し出した。


「その、ありがとうございます。治してくれて」

「……ああ」

「えっと、その……さっき言っていた“ちゃんとした”吸血鬼ってどういうことですか?」


 話し始めても視線は変わりなかったため、ついでにさっき疑問に思ったことを質問してみる。

 吸血して傷を治せるのは“ちゃんとした”吸血鬼だけみたいな言い方だった。

 “ちゃんとしていない”吸血鬼もいるということだろうか。