闇の総長はあたらよに運命の姫を求める

「動くなよ?」

「え?」


 私のケガを静かに見ていた櫂人先輩は、短く告げるとじくじくと痛むひじの傷に顔を寄せてきた。


「な、何を? 汚いですよ?」

「いいからジッとしてろ。さっきの見てただろ? “ちゃんとした”吸血鬼は、吸血行為の後その傷を治せるんだ」

「あ……」


 言われて、ついさっき女性の首筋から血を吸い舐めとっていたことを思い出す。

 モヤモヤした気持ちも思い出してしまったけれど、そう言えば止血したとか言っていたっけ。

 なんて思い出しているうちに、私のひじに柔らかいものが触れた。


「っ⁉」


 櫂人先輩の唇が触れ、ちぅ、と吸われる。

 吸血行為なんだろうけれど、そんなの関係なくとにかく恥ずかしい。

 恥ずかしすぎて痛みも忘れた。