「湊……ああ、しばらく動けなくしておいた。大橋さんを呼んでおいてくれ」
「ああ、分かった」
気安い様子の櫂人先輩に、湊と呼ばれた男の人はスマホを取り出してどこかに電話を掛け始めた。
すると、櫂人先輩の視線がまた私に戻ってくる。
「恋華、どうしてお前が?……いや、まずはケガはないか? そいつに咬まれたんじゃないのか?」
「あ……いえ、大丈夫です。咬まれてはいないので……」
心配してくれる櫂人先輩に少し安心して、私は差し出された手を取り立ち上がった。
「咬まれてない? でもこの血の匂いは……」
「あ、それは多分あの人の――ってそうだ! あの人!」
話しながら襲われていた女性のことを思い出す。
「ああ、分かった」
気安い様子の櫂人先輩に、湊と呼ばれた男の人はスマホを取り出してどこかに電話を掛け始めた。
すると、櫂人先輩の視線がまた私に戻ってくる。
「恋華、どうしてお前が?……いや、まずはケガはないか? そいつに咬まれたんじゃないのか?」
「あ……いえ、大丈夫です。咬まれてはいないので……」
心配してくれる櫂人先輩に少し安心して、私は差し出された手を取り立ち上がった。
「咬まれてない? でもこの血の匂いは……」
「あ、それは多分あの人の――ってそうだ! あの人!」
話しながら襲われていた女性のことを思い出す。