闇の総長はあたらよに運命の姫を求める

「櫂人と一緒の夜は、いつだって明けて欲しくないほど素晴らしい――可惜夜(あたらよ)なんだもの」

「っ!……恋華」


 十二年、私たちが再会するための唯一の繋がりだった貝殻。

 その貝合わせに書かれていた言葉を使った私に、櫂人は切なそうに顔を歪める。

 頬に触れていた私の手を取り、大切そうに瞼を伏せ、手のひらへキスをした。

 ゆっくり上げられた瞼から現れた闇色の目は、炎を宿らせ私を見下ろす。


「そうだな……俺にとっても、恋華と過ごす夜はいつも可惜夜(あたらよ)だ」


 櫂人は同じ言葉を使ってゆっくりと私の唇を塞いだ。

 繊細な宝物を扱うように、優しく。

 それでいて、深く求めるキスをする。