闇の総長はあたらよに運命の姫を求める

「ああ……じゃあ、今日は俺がもらうな」


 言い終えると、吐息の代わりに熱い舌が肌に触れる。

 狙いを定めるようになぞられると、硬いものがグッと当てられた。


「っ⁉」


 痛いと思ったのは一瞬で、すぐに別の感覚が沸き上がる。

 ゾクゾクと甘い熱のようなものが駆け上がって来て、思わず櫂人の背中に腕を回してギュッと掴んだ。


「んっ……ああっ……」


 痛みとは真逆の感覚に甘く吐息が零れる。

 首筋から流れる血を三口ほど嚥下(えんか)して、血を舐めとり傷を塞いだ櫂人に私は戸惑いの声を掛けた。


「かい、と? 何……この、感覚?」

「ん? ああ、言ってなかったか? 直接吸血された相手は性的快感を得られるって」

「せい……え?」


 なにそれ、聞いてない。