闇の総長はあたらよに運命の姫を求める

「……いいか?」

「……ん」


 小さくうなずくと、櫂人の顔が近付き首筋に埋まる。

 痛いのかな?

 でも、櫂人がそこまで痛いことするとは思えないし……。

 なんて考えていると、吐息と共に囁きが耳に届く。


「明日は、恋華が俺の血吸ってみるか?」

「わ、たし?」

「ああ。お前も吸血鬼になったし、お前の“唯一”は俺のはずだから」

「あ……」


 そっか。

 吸血鬼同士なら、お互いが“唯一”になるんだっけ。

 そのうちどうせ私も血を飲まなきゃならなくなるんだから、櫂人の血を飲めるならそうした方がいいのかもしれない。

 そう思って、小さく「うん」と答えた。