闇の総長はあたらよに運命の姫を求める

「……にしても、家に戻って来いって言われなくて良かったよ」


 櫂人も真理愛さんたちのことを思い出していたのか、家の鍵を空けながらそんなことを呟いていた。


「そうなの? あ、ラブラブな両親と一緒だと気まずいとか?」


 靴を脱ぎながらからかうように聞いた。

 私への説明が終わった後、とりあえず帰れることを旦那さんに知らせると電話を掛けた真理愛さん。

 初めこそ櫂人が家を出ていたことを責めていた様子だったのに、いつの間にか「愛してる」だとか言い合ってるみたいで甘い雰囲気になっていた。

 あの様子だけでもラブラブなんだろうなぁって分かる。


「まあ、それもあるけどな」


 うんざりした様子で同意した櫂人は、少しかがんで私に顔を近付けてきた。