「真人さん⁉」

「ん? ああ、この男が君の主治医っていう……おっと」


 何とか話せないかと身を乗り出し通話ボタンを押そうとしたけれど、隙を突いたわけでもないからすぐに捕まってしまう。


「ダメだよ。ちゃんと大人しくしていないと」

「んんー!」


 口を押さえられ、元いた場所まで戻されるとガムテープで口を塞がれてしまった。

 その間もインターホンは何度も鳴らされ、真人さんが去る気配はない。


「全く、うっとおしい」


 文句を口にしながらまたテレビドアホンの所へ行った大橋さんは、そこでやっと通話ボタンを押した。


「すみません。今取り込み中でして――」

『大橋怜伽、恋華さんはどこ?』

「⁉」


 機械越しに聞こえた声は、普段より高めな真人さんの声。

 口調も少しいつもと違っていて、まるで……。