「見た目は大和撫子って感じの和風美人なのに。もっと悲壮感に溢れて泣くかと思っていたよ」

「……大事なものを見失わない様にしているだけですよ」


 無視しても良かったけれど、大事なものを完全に見失っていそうな大橋さんに当てつけるように言ってみる。

 でもその当てつけに気付いているのかいないのか、彼は「そうかい」と軽く受け流すだけだった。


 そうして食べ終えた頃、倉庫内にピンポーンとインターホンの音が響く。

 私は気になったので、壁際にあるテレビドアホンを見に行く大橋さんの後ろをついて行った。

 手は拘束されていたけれど、足は自由だったから。


「……この男、またこの辺りを探っているのか?」


 画面を見て苦々しく呟いた大橋さん。

 私はその後ろからそっと画面を見て思わず声を上げた。