パクリと、差し出されたホットドックにかぶりつく。

 不満げな顔を隠しもせずに、咀嚼し飲み込んだ。


 夕飯の時間だからと食事を持ってきた大橋さんだけれど、私の腕の拘束は取ってくれないらしく食べさせると言った。

 そこまでして食べたくないとも思ったけれど、もし逃げる機会が出来たときにお腹が空いて動けませんじゃあ話にならない。

 なので、仕方なく食べることにしたんだ。


「いや、本当。中々たくましいね、恋華さんは」

「……」


 正直、それは自分でも思った。

 打つ手がなくて、涙ながらに櫂人への助けを呟いたのはほんの小一時間前だっていうのに……。

 でも泣いてばかりいても状況が変わるわけでもないし、逆に泣いたことで不安を吐き出したからなのか少し落ち着けた。