大橋さんの後ろを私はとぼとぼと歩いていく。

 衝撃的な話を一度にされ、理解はしたけれどやっぱり完全には受け入れられなくて……。

 今はただ、何も考えたくなくてぼぅっとしながら足だけを動かしていた。


 しばらく無言でついていくと、人目を避ける為なのか木々が生い茂る林の辺りに来る。

 流石にどこに行くんだろうと疑問に思ってきたころ、大橋さんが「そう言えば」と話し始めた。


「君は櫂人くんのお母さんのことは知っているかな?」

「え? まあ、少しは聞いていますが……」


 今まで黙っていたのにいきなり何なんだろう?

 しかも櫂人のお母さんって……突然すぎる。

 質問の意味が分からなかったけれど、とりあえず聞かれたことに答えた。