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 コンコン

 久島先生は保健室にいる様子だったから、ノックをしてドアを開ける。


「失礼します。久島先生、櫂人に聞いて来たんですけど……」

「ああ、いらっしゃい。待ってたわ」


 静かな微笑みで迎え入れてくれた久島先生にうながされ、私は彼女と向かい合うように椅子に座った。

 お昼にいつも来る時とは打って変わって落ち着いた様子に、真面目な話なのかもしれないと少し気を引き締める。


「あの、話があるって聞いたんですけど……」


 ハーブティーを出してくれた久島先生に、私は単刀直入に聞いた。

 いつもは明るく気さくなお姉さんといった雰囲気の久島先生がいつもと違っていてちょっと気まずかったから。

 真面目な話は出来るだけ早く終わらせて、いつものように和やかに世間話でもして櫂人を待ちたかった。