闇の総長はあたらよに運命の姫を求める

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 ブロロロロ……

 エンジン音を響かせて、夜の海辺の街をマジェスティで走る。

 暗い中バイクに乗るのは初めてだけれど、毎日乗っているから体は慣れてきていたんだろう。

 怖いと思うことなく、目的地まで乗ることが出来た。


 櫂人に連れて来られた場所は波の音が聞こえる砂浜。

 少し先には岩場があるのか、ごつごつとした黒い影が見える。

 昼間の海は解放感にあふれているのに、夜の海は波の音が暗闇へと(いざな)っているようで少し怖かった。


「足元気をつけろ」

「うん。あ、ありがとう」


 私の手を取って櫂人は浜辺へと降りる。

 確かに暗くて足元は危ないけれど、整備されている道だから危なげなく降りることが出来た。