闇の総長はあたらよに運命の姫を求める

「いや。この味、前にも食べたことがあるなぁと思って……ちょっと思い出してた」

「へぇ、そうなんだ? 同じレシピなのかな?」


 材料や作り方が同じなら似ている味にはなるだろう。

 私はそこまで気に留めることなく食事を進めたけれど、櫂人は何か思うことがあるのか何か考え事をしながら食べ続けていた。

 珍しく会話のない食事を続けていると、ポツリと櫂人が声を出す。


「なあ、恋華。食事の後ちょっと出ないか? 行きたいところがあるんだ」

「え? うん、いいけど……」

「サンキュ、じゃあ早く食うか」


 無表情で考え込んでいた櫂人はそう言ってやっと笑顔を見せてくれる。

 どうしたんだろうと不思議に思ったけれど、多分行きたいところというのに関係あるんだろうと思って今は聞かないで置いた。


 そうして食事を終えて片づけると、私たちは夜の街へと出て行った。