「んっ……は……恋華……」


 離れた唇がもどかしそうに名を呼ぶと、力強い腕が私の身体を優しくベッドに横たえる。

 二人分の重さに深く沈んだベッドがギシリと鳴った。

 私が下になったことで、櫂人の姿が良く見える。

 引き締まった体。

 力強い腕。

 まだしっとりと濡れた黒髪は彼の整った顔を妖艶に縁取る。

 切れ長の目は怖いくらい真っ直ぐ私を見下ろす。

 体だけでなく、心すらも見透かされそうな眼差しにフルリと小さく震えた。


「……怖いか?」

「……ちょっと」


 答えると、優しいキスが降ってくる。

 チュッチュッとリップ音を響かせながら私の恐怖を吸い取ってくれているみたい。