闇の総長はあたらよに運命の姫を求める

 でも、その前に伸ばした手を櫂人に取られる。

 そのまま彼の頬に誘導された。


「俺は、父さんほど母さんを信じられなくて……荒れた。茜渚街でケンカばっかりして、いつの間にかガラの悪い連中が集まるようになって……そういうのを取りまとめたりしているうちに、《朱闇会》が出来上がったんだ」

「そう、だったんだ……」


 私の手のぬくもりを確かめるように頬をくっつける櫂人。

 そのまま滑る様に彼の顔が動き、チュッと手のひらにキスをされた。


「っ⁉」

「でもな……今は信じられる」


 私の手のひらに息をかけながら話す櫂人は、悲し気だった雰囲気を甘えるようなものに変えて伏せていた瞼を上げる。

 上目使いに私を見上げた黒曜石のような瞳には、甘い熱が宿っていた。