見上げると、拗ねたような表情があった。

 素の表情っぽくて、思わずキュンとする。

 でもシャワーは浴びたい。

 路地裏で何度もアスファルトに倒れたし、治してもらったとはいえケガもした。

 絶対に汚れてる。


「それにその……お腹も空いて来たし……」


 そう言うと、丁度タイミングを見計らったようにくぅ、と私のお腹が鳴る。


「……」

「ふはっ、まあ、確かに腹は減ったな」


 笑われてしまった。

 恥ずかしかったけれど、ある意味タイミングは良かったのかもしれない。

 いたしている最中に鳴ったらもっと恥ずかしいし気まずかっただろうから。

 何より、櫂人が今このままするのを諦めてくれたみたいだったから。

 だから、うん。一先ずは良かった。

 そういうことにして、私はお腹が鳴った恥ずかしさを誤魔化した。