つまり……栞がいろんな輩に狙われてるってことだ。

　それはライバル増加を示唆するものでもあり、僕を悩ませてくれる材料でもある。

　こんな呑気に待ってたら、栞は振り向いてくれない……。もっと積極的に行かなくちゃ。

　そう思うけど、新さんに勝てる自信なんてどこにもない。

　新さんにも栞にも幸せになってほしいから、この気持ちは無理やり明るくしておかないとダメ。

「ライバルなんて、要らないのに。」

　つい、そんな言葉が口を突いて出る。

　本当は栞を閉じ込めちゃいたいけど、そんなことしてもダメなのは分かってるんだ。

　だから僕、もっともっと頑張らなくちゃ。

　自分の力で、自分の実力で栞に好きになってもらわないと……人を好きなる資格なんてない。

　勝算なんて、あるはずがない。惨敗する未来は、見えている。

　それでも、そんなのが分かってても僕は……諦められないから。

　僕はひっそりとそんな気持ちを抱き、栞のことをまた強く想った。