「ねぇ誠、良治の彼女ってどんな子?」


 放課後になり、誠と二人で帰り道を歩きながらそう質問をした。仲のいい誠ならもしかすれば良治の彼女のことを知っているかもしれない。


「良治の彼女?」


 誠は目をパチクリさせてそう聞き返してきた。


「うん。他校の彼女だって聞いたけど、誠なんにも聞いてない?」


「聞いてないもなにも、あいつに彼女なんていないだろ」


「え?」


 私は聞き返すと同時に立ち止まっていた。


「そういうのは隠さないでくれよって言ってあるし、昨日の休みだってアイツ一人でどこか行く予定があったみたいだしな」


「それ、本当? 本当に良治には彼女がいないの?」


「あ、あぁ、いないはずだよけど?」


 それならどうして良治はあんな嘘をついたんだろう。他校の彼女だなんて。


 その時脳裏にすぐにスマホを隠した様子がよみがえってきた。もしかして、スマホでなにをしていたのか誤魔化すためだろうか?


 そこまで考えて息を飲んだ。


 まさか、良治がずっとメッセージをしていた相手はあの車の男じゃ……?


 だとしたら良治があれだけ警戒しながらスマホをいじっていたこともうなづける。


 良治をあんな簡単に殺してしまった男が相手だから、学校にいても返事は早くしなきゃいけなかった。


 だからしぶしぶ周りを気にしながら返事をしていたのかもしれない。


 そう考えれば今日の良治の警戒っぷりも納得できる。