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「えっ?」

な、何で?

やっぱり私の考察は、合ってた?
あの、記事は嘘じゃなかった?

……私は嘘だと心の底では思っていたのに。


キ、ス……?


王政義數と、花奈さんが、満月の下で、人気のないところで、キスをしていて。
すごく、画になっていて。

あれ?なんだろう?

おめでとう。と花奈さんに言いたいのにーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーー声が出ないのは何故ですか?
ーーーーーーーーーーー涙が出るのは何故、ですか……?

「ま、おうさま?」

「……っ」
私を見ない、魔王様。

やっぱり、好きなんですか?花奈さんのこと?

「……楓さん。ごめんなさ、い」

好きなんだ。2人とも。

もう、自分で、確認してる。
綺麗な顔と顔がキスしてるんだから。

見れば分かることだ。

……あれ?でも、何で、花奈さんは、謝ってるの?


「謝ることじゃないですよ!!花奈さん、おめでとうございます!!」

あの意地悪そうな花奈さんが、すごく純粋に涙が出てるし。

でも、私の涙はーーーーーーーーーーーー


ーーーーーーーーーーーー何?……何の、感情ですか?


「わ、私は、見なかったことにーーーーーーーーーーーー「待て」

えっ?

私はもう、王政さんと花奈さんの方を見ないように、背中を見せていた。
だけど、王政さんの一言で、私は体、全体、振り向いた。

「楓、勘違いするな」

「えっ?」

「キスなんて、してねえよ。ちゃんと、免れたから」

「へっ?」
間抜けな声が、私は出ているけれど、気にしない。

「……っ!!なんで言うの!!!數くん!!!?」

「お前なぁ、楓や俺にいじめるな」

そう言いながら、王政さんは、私に近づいてくる。
それを、何にも違和感が無く、話を聞いている私。


「私は、好きなのに……!!なんで!!」

「もう一回言うぞ。……お前は、権力を盾にして、楓を潰そうとするな」

「……っ」

「そして、お前は楓に羨んでいただけじゃねえかよ」

「……っ」

「俺の元婚約者を……いや、俺の大好きな嫁を邪魔するやつは……分かるよな?花奈?」

最後はにっこり笑っていたが、
花奈さんは、顔を真っ青にして、黙って、逃げて行った。

……ん?
待て。

私のこと、なんて言った?