【side花奈】

「……フフフ!!!あなたの元婚約者が騙されてるって、爽快ね!!」

本当、純粋で、鈍感な子。
私が數くんにふさわしいのだから、邪魔。

……まぁ、あの子が来たら。

「ーーーーーーーーーーーーおい。花奈」

「何?數くん」

「お前、楓に何しようとしてる?」

「さぁ?」

數くんは、何で、あの子のために、すごく色気のある和服、浴衣を着てるの?
私のために着てよ。數くん。

もう。自分でも分かる、心の中での一番大きい感情、嫉妬。

だったら、もっと、絶望をあの子が味わえばいい。

あの子の顔の絶望が見たい。

だって、絶望したら、諦めるよね?


……あっ、そうそう。なぜ、ここに、數くんがいるのか。
脅したから。

『あなたの大切な……愛してる人が、違う男の人にキスしてたらどうする?』

にやあと私の口元はとても上がっていた。

楽しかった。
あの子の絶望を見れば、數くんは、私の方を向いてくれるって。

數くんはずっと立ち止まりながら、あの子を待っていた。

もう、姿でも分かる。
あの子を待っている。って。


本当、あの子がムカつく。

あの子がいなければ、數くんは私のものだったのに。