もっと、命令したい


「ど、どういうことですかっ?!」


「どうもこうもないよ。俺とデートしてよ?」

いやいや!!私と先輩の隣に、クラスの女の子と男の子が見てるんですけど?!
というか、大半が、女の子なんですけど……。

その中に灯がいた。

そりゃあそうだ。灯は芸能人のゴシップ大好きなんだから。
……だし、灯は、休みのときに、先輩が言ったことが聞き捨てならなかったらしく、私の隣にいた。

「……ねえ。どういうことなんだろうね……?」

こしょっと灯は小さな声で私の耳に喋る。


「知らないよ……。」
と言いながら、私は、先輩の顔を見ると。

にやあとまだ、笑っていた。

なんで笑っているのかも知らずに、私はため息を吐く。
もう、先輩を見るだけで、やばいこと、嫌なことが始まると分かっているから、ため息を吐いてしまうのだろう。と私は思っていた。


「……じゃあ……〇〇駅で待ち合わせ」

「はい。分かりました」

〇〇駅って……超都市な駅じゃん。

ここで、デートって、ゴシップ記者がいそうだよね?
芸能人だったら……絶対、嫌そうだけど………。

まぁいっか。

先輩は、こういうときって、何か隠してそうだけど。

「……わ、わかりました」
コクっとゆっくりと頷いて、私は、先輩を見ていた。

そして、その現場を目撃していたクラスの女の子たちは…………。
ハートな目、睨めつき=嫉妬な目、びっくりしてる目、色々な目で、私と先輩を捉えていた。


はいはーい!!ストーーップ!!

みなさん、分かりました??

びっくりしちゃいますよね?……大人気モデルの《AoBa–アオバ–》と“デート”するなんて。

遅いが、説明しておこう!!
大人気モデル《AoBa–アオバ–》は……私の中学校の先輩です。

ではなく!!芸能の方では、王政義數と同じように雑誌で表紙を飾ったら、すぐに完売するらしい。

『この顔……私性癖に刺さるぅ〜〜〜!!』
『やばい……かっこよすぎ』
など、SNSで呟かれ、1時間ぐらい世界のトレンドが、AOBAになるぐらいだった。

モデルの幅を超え、声優の仕事も担っているらしい。
先輩は元々アニメが好きだったらしく、初めて声を当てたとき、すごい衝撃を受けた。と音響監督は言ったとか。

《AoBa–アオバ–》こと、子王葉透は、さっき言った通り、私の中学校時の先輩だ。
先輩と言っても、委員会の先輩だけだけれど。
委員会は、放送委員会。

放送委員会は、運動会のアナウンスや、学校の行事が迫ったら報告する仕事だ。

私は、先輩に誘われたので、受けた委員会だ。

って……なんで、私は、先輩のことを話してんの……!?


というか、今……絶賛……、ナンパ中なんですけど!?



ことの発端は……1時間前。



願うなら、戻って欲しい。

もう1度。

時間をね。

作者:秋風楓

私は絶賛ナンパ中でもあるのに、心の中で俳句を詠んでいた。