もっと、命令したい


なんだろう。この胸が締め付けられる感情は。

私は、先輩の顔を見る。
見ると、先輩が切なげに、笑っているじゃないか。

「せ、先輩?」

「俺、振られる前提で今、話してる」

今、分かった。この感情は。

「先輩、ごめんなさい」

先輩の恋が、私で、今、終わろうとして、切なすぎる感情だ。
そして、私に裏切られた感情。

なんだろう。恋は。

こんなにも切ないのかな?

みんながハッピーエンドになる恋はないのかな?


「先輩。ごめんなさい」

好きな人がいます。

そう、言葉を残して、私は先輩に背中を見せた。
そしたら、先輩は。


「じゃあ、これだけ、許して」

マスクを外して。


「ひゃっ!?」

私の首にキスをしてきた。


「これだけは俺の中に残したいから」

「ちょ、ちょっと、せ、んぱ……!」

私が目を瞑ると、もっと、私の首に先輩の口を付けて。


「……はい。終わり。」

終わってしまっていた。