……早く行かなくちゃ!!!
今、何時だろう!!?
下駄っぽい靴だから、走りにくい!
なんか、少女漫画だったら、下駄がずれて、怪我とか……って考えてる暇じゃない!!!
早く、行かなくちゃ、意地悪王様の意地悪笑みが来る!!!
魔王様の待ち合わせの時間は承諾も電話でもらって、
今、先輩に会おうとしてます!
ーーーーーーーーーーーーピーンポーンピーンポーン。
電車の扉が開いたと同時に、私は下駄で、階段を降りる。
改札に専用のカードをピッと付けて。
駅を降りる。
そして、私は携帯の連絡アプリを開いて。
『どこにいますか?』と打つ。
そしたら、すぐ来て。
『銅像の前』
ど、銅像の前……?
あっ。い、た……。
楓が目の当たりにしたのは。
超モテている先輩なのか。超ダサい服を着ている先輩なのか。
どっちなのだろう。と思ったら。
……中途半端〜〜〜〜。
バレてるし、モテてるし、服装、ダサいし。
何これ。
だけど、すぐ、先輩は対処して、先輩のファンたちは去って行く。
私は今だ!と思い、自分の足を駅から、踏み出す。
「せ、先輩!!!」
下駄で少しだけ走ると、やっぱり、走りにくい。
私は走るのに夢中だったので、先輩の顔などは全然見ていなかった。
「可愛すぎ」
ましてや、先輩が顔全体を赤く染めているとは全然知らなく。
だけど、先輩は携帯を取り出して。
カシャ。
「へっ!?」
何故か、私の服装を先輩は自分の携帯で撮った。
「可愛すぎるから撮った」
はい!?
『可愛すぎるから、撮った』!?
どういうこっちゃ!
「え、えーと。ありがとうございます……」
なんか、嬉しいというか、意外というか。
この私の気持ちも中途半端。
……全然上手くないけど。
私が可愛いのは置いておいて!!
私は先輩の腕を引っ張り、花火大会のところへ行こうとしたそのとき!
「……それは置いておいて、先輩、行きーーーーーーーー「AoBaの隣にいる人、誰?」
……っ!?
私は今の笑顔から、すぐに、冷や汗を掻いた状態の顔になる。
多分、いや、絶対、私に言っているのであろう、
先輩のファンのひとたち。
「ねえ、彼女だったら、幼すぎない?」
「ていうか、これが、AoBaの彼女だったら、嫌なんだけど」
「分かるー!!」
「やばー。あの顔。」
「AoBaがいる“だけ”でいいんだけどーー!!」
“だけ”
先輩、1人。私は邪魔。
……やばい。私の心が……もうすぐ、折れそう……!
「やばい……!!聞こえてるかもよ……!!」
ふふふと笑う声など私の耳に嫌になるくらい聞こえてきて。
私は浴衣の襟を少しだけ強く片手で握っていた。
それを見た、先輩は一瞬目を見開いて。
「行くよ」
と言った。
「……えっ!?」
私の腕を強く引っ張る。
人気モデルAoBaだと気づかれた……って、もう、気づかれてたし。
何で、私の腕を……。
先輩、もしかして……?
「私の心、読んだんですか!?」
あっ、やばい。言葉に出てしまった。
「本当、図太い鈍感生娘」
あっ!!!また、私の異名増えた!!
その異名、どうにか、してくれないのかなー……!
そう先輩に言っていたとき、ちょうど、祭りの入り口に着いて。
「何、買いたい?」
私の異名の話のことはすっかり、変えられていた。