あんたは。楓は。
好きになっているのに自分で、気づくのが遅いね。

〝もうすぐ〟だから。

楓。〝もうすぐ〟きっと繋がるよ?

だけどねー……!!








「……はい。すみませんでした。」

反省しております……!!

怖い。やっぱり、怜さんと灯の鬼神というか、般若の顔は……怖い!!
怖いです!!

「まぁいいよ。あんたが、王政義數を、魔王様なんて、呼んでたなんて。ぷふ。面白い」

「面白くないでしょ!!?」

灯が、あんたって言うときは。
怒ってるときか、悪巧みをしているときは、私を、〝あんた〟と呼ぶ。


「いいよ。……で、あんたは、王政義數が、好き、と?」

「は、い」
そう言ったら、私の頰は、いや、顔全体がかああああと赤くなる。

やばい!!

王政さんの顔を浮かばせーーーーーー「魔王様って呼んで?」

うわあああ!!!
やばい!!私の頭の中は、魔王様の脳と繋がってるのか!!!??


「可愛いねー。うちの楓は」

「か、可愛くない!!」

全力で否定します!!
顔、全体、赤くても、全力で否定します!!!

私はムキになって、頰を膨らます。

「そういうところが、可愛いのにね〜」

はい!?
な、何それー……。
意味不明なんですけど?!

「いやいや、可愛くないって〜……もしかして、冗談?その方が面白いし」

「違います」

即刻に、私の言ったこと、否定された!!!!

「え、えぇー………」

「何で、そんな引き気味?……で、花火大会で告白しようと?」

「はい……」

「……でさ、何で、AoBaの誘いは断らなかったのよ!?」

「……それはー…」

「もうっ……鈍感お人好し娘」

ど、鈍感お人好し娘……!?
な、なんか、私の異名が……次々増えて行ってません……!?

心の中で伝えるのに、声には出せない私。
なぜか、灯の圧が強くて、言えないから、顔で伝えているというのだ。

それを見た、灯は、
「顔で、つ、たえてる……」
と引き気味だった。

だけど、灯は、何か気づいたような顔をして。

「……ねえ、そのさ、AoBaの誘いの花火大会と、王政義數の誘いの花火大会。
その2つの花火大会が競争してるって噂、聞いたことあるけど。」

「……えっ?何それ?」

灯曰く。
その2つの花火大会は、昔から、花火の表現を争っていたらしく、
どっちの花火大会が好き?という、投票まであるのだ。だから、今は、ネットで、どっちが好き?
という投票や、論争、写真を送っていたりなど、有名どころらしい。

だけど、この2つの花火大会には、変な噂、昔話的なのがあるらしい。


「……昔から、言われててね!……
漢子二人(おのこふたびと)揃ったらどちらか、()奪う』
……って言う言葉が昔から、その花火大会に浸透してるらしくて!!」

『漢子二人揃ったらどちらか妃奪う』?

な、何それ。何かの迷信?

だけど、それを灯に聞いてみたら。

「なんか、すごい昔に、逆ハーレム状態の後宮がこの国にあったらしくて、
この国の姫さまを奪った男の人をおめでとうと祝うために、この国で花火が行われたのが始まりなんだって!」

「へー……。」

なんだろう。この違和感。
迷信っぽいけど、逆ハーレム、通称、逆ハーをドラマでやってるの見たことあるし。
信じがたいけどなー……。

「……でさ!!!AoBaの誘った花火大会と王政義數が誘った花火大会が違うって!!!」

そのお話みたいじゃない!!!!?

灯が興奮状態で私に言ってくる。

……やはり、祐美と灯の圧は、強い…!!
そして、説得力あるーー……!!


「そ、そうだね。」

この場は頷くとしか選択がないでしょ!!
だし、今、灯は興奮状態だからね!!


「……花火大会が終わったあと、話、聞かせてねっ!楓っ!」

うん。やっぱり、圧が強い!
そして、声、大きっ!!

「はーいー。わかりましたー。」

私は棒読みで、話すことを承諾して、灯は私が棒読みで言っていたことを。

「棒読み!?……あっ、そうそう。私も、花火大会行くから。」

すぐ気づいていた。
そして、私にびっくりすることを呟いていた。

「えっ!?……は、花火大会!!?」

「うん。そりゃあ行くもん。」

「誰と?」

「それは秘密ー。」

ニヒヒヒとすごく悪巧みしてそうな笑いだけれど、
灯のその笑い方はいつもあってのことだから、私は気にしていなかった。

そのかわり、私は、灯にも、秘密があった!!と喜んでいた。
誰にでも、秘密あるって誰かが言ってたけど、本当かも!!?


秋風楓と塔堂灯は、まとめっぽいことを言ったら、すぐ、そのお話は終わるのだ。
意味:放っておく。

これは、どうなる??!
秋風楓!!