あんたは。楓は。
好きになっているのに自分で、気づくのが遅いね。
〝もうすぐ〟だから。
楓。〝もうすぐ〟きっと繋がるよ?
だけどねー……!!
・
*
「……はい。すみませんでした。」
反省しております……!!
怖い。やっぱり、怜さんと灯の鬼神というか、般若の顔は……怖い!!
怖いです!!
「まぁいいよ。あんたが、王政義數を、魔王様なんて、呼んでたなんて。ぷふ。面白い」
「面白くないでしょ!!?」
灯が、あんたって言うときは。
怒ってるときか、悪巧みをしているときは、私を、〝あんた〟と呼ぶ。
「いいよ。……で、あんたは、王政義數が、好き、と?」
「は、い」
そう言ったら、私の頰は、いや、顔全体がかああああと赤くなる。
やばい!!
王政さんの顔を浮かばせーーーーーー「魔王様って呼んで?」
うわあああ!!!
やばい!!私の頭の中は、魔王様の脳と繋がってるのか!!!??
「可愛いねー。うちの楓は」
「か、可愛くない!!」
全力で否定します!!
顔、全体、赤くても、全力で否定します!!!
私はムキになって、頰を膨らます。
「そういうところが、可愛いのにね〜」
はい!?
な、何それー……。
意味不明なんですけど?!
「いやいや、可愛くないって〜……もしかして、冗談?その方が面白いし」
「違います」
即刻に、私の言ったこと、否定された!!!!
「え、えぇー………」
「何で、そんな引き気味?……で、花火大会で告白しようと?」
「はい……」
「……でさ、何で、AoBaの誘いは断らなかったのよ!?」
「……それはー…」
「もうっ……鈍感お人好し娘」
ど、鈍感お人好し娘……!?
な、なんか、私の異名が……次々増えて行ってません……!?
心の中で伝えるのに、声には出せない私。
なぜか、灯の圧が強くて、言えないから、顔で伝えているというのだ。
それを見た、灯は、
「顔で、つ、たえてる……」
と引き気味だった。
だけど、灯は、何か気づいたような顔をして。
「……ねえ、そのさ、AoBaの誘いの花火大会と、王政義數の誘いの花火大会。
その2つの花火大会が競争してるって噂、聞いたことあるけど。」
「……えっ?何それ?」
灯曰く。
その2つの花火大会は、昔から、花火の表現を争っていたらしく、
どっちの花火大会が好き?という、投票まであるのだ。だから、今は、ネットで、どっちが好き?
という投票や、論争、写真を送っていたりなど、有名どころらしい。
だけど、この2つの花火大会には、変な噂、昔話的なのがあるらしい。
「……昔から、言われててね!……
『漢子二人揃ったらどちらか、妃奪う』
……って言う言葉が昔から、その花火大会に浸透してるらしくて!!」
『漢子二人揃ったらどちらか妃奪う』?
な、何それ。何かの迷信?
だけど、それを灯に聞いてみたら。
「なんか、すごい昔に、逆ハーレム状態の後宮がこの国にあったらしくて、
この国の姫さまを奪った男の人をおめでとうと祝うために、この国で花火が行われたのが始まりなんだって!」
「へー……。」
なんだろう。この違和感。
迷信っぽいけど、逆ハーレム、通称、逆ハーをドラマでやってるの見たことあるし。
信じがたいけどなー……。
「……でさ!!!AoBaの誘った花火大会と王政義數が誘った花火大会が違うって!!!」
そのお話みたいじゃない!!!!?
灯が興奮状態で私に言ってくる。
……やはり、祐美と灯の圧は、強い…!!
そして、説得力あるーー……!!
「そ、そうだね。」
この場は頷くとしか選択がないでしょ!!
だし、今、灯は興奮状態だからね!!
「……花火大会が終わったあと、話、聞かせてねっ!楓っ!」
うん。やっぱり、圧が強い!
そして、声、大きっ!!
「はーいー。わかりましたー。」
私は棒読みで、話すことを承諾して、灯は私が棒読みで言っていたことを。
「棒読み!?……あっ、そうそう。私も、花火大会行くから。」
すぐ気づいていた。
そして、私にびっくりすることを呟いていた。
「えっ!?……は、花火大会!!?」
「うん。そりゃあ行くもん。」
「誰と?」
「それは秘密ー。」
ニヒヒヒとすごく悪巧みしてそうな笑いだけれど、
灯のその笑い方はいつもあってのことだから、私は気にしていなかった。
そのかわり、私は、灯にも、秘密があった!!と喜んでいた。
誰にでも、秘密あるって誰かが言ってたけど、本当かも!!?
秋風楓と塔堂灯は、まとめっぽいことを言ったら、すぐ、そのお話は終わるのだ。
意味:放っておく。
これは、どうなる??!
秋風楓!!