もっと、命令したい


「ねえ、オレンジジュース持って来て?」


はい。持ってきます。

「はいどうぞ」

「ありがとう?」
私を見下している顔で見る先輩。

ん……?あれ?

中学校の頃と変わってなくない?

パシリは………高校でも続きましたよ……。
秋風楓さん……。

他人事ではないのに、私は少しだけ、天を仰ぐ。


ではなく!!!


「先輩……もうやめてください!!」

「やめないしー」
先輩はズズッとストローで、残りのオレンジジュースを強く吸って、言っていた。

………早すぎるでしょ……。

頑張って、「10秒で持って来て……廊下を走って来て…ね?」と先輩に言われ、廊下を走って、先生に怒られながらも自動販売機で買った、冷たいオレンジジュースが。


……今にも、シワシワの細いオレンジジュースになっている。


もう、あんぐりだ。

こんなにも俺様で、私をまだ!付き纏っているなんて……。

「はぁっ。」とため息を吐きながら、自分の席に座れ……ない!!
なんで……先輩が座ってんのよ……!!

「あの……先輩、どれだけ、私を怒らせたいんですか!?」

「怒らせてねえし」

「怒らせてますっ!!」

私は大きい音でドンっ!!と、私の机を叩く。

「………」
びっくりしていて、目を見開いて、私を見ている先輩。

びっくりしろ。びっくり!!

はぁっ。とため息を吐いて。

私は、言う。
「先輩……もう、私に付き纏わないでくださいね?」

「……はぁっ。ごめん。ごめんって。」

よし。やった。
やっと……先輩が…私に……

「分かったよ。付き纏わねえけど、明日、空けといてね?」


付き纏わ……な、い……?!!!!?

待って。待って。


空けとくって……何それ。


「……ねえ、聞いてる?」

「き、き、聞いてます。」

「ちゃんとした俺様語じゃなくて、普通に喋ったんだけど……?」

「はい。それは分かってます」

俺様語って何だそれ。

すかさず、私は心の中ですぐにツッコミを入れる。



「じゃあ。空けといてね?」

「空けときません」
すぐさま、私は口が開く。

反射神経って、このとこか。
いや、反射神経だけれど……まぁ先輩に慣れたんでしょうけどさ?!

「えー…?」



「な、なんですか……それ?」

「それって?」
さっきのことを忘れたように、言ってくる先輩。

……やっぱり、私を怒らせたい。

だって、今の先輩の顔が超にやけていますもの。

「……さっきの…空けとくって……」

私はそう言い終わった後、先輩は、ニヤニヤしながら、私の席の椅子から立ち上がって。

「……俺と、デート。」
と言いながら、私の片方の腕を引っ張って、抱き締めるような形になっていた。

「ええええ!?」

はい。


ええええっ!?です。



…………………
……………
…………


『翌日。』

いや!!いや!!翌日ではなく……放課後に遡ってーーー!!!!

『昨日の放課後。』

よっしゃー!!戻ったぁーー!!
そう心の中でガッツポーズをしながら、私は放課後の話を自分の頭の中で整理整頓をする。