好き。



好き。



好ーーーーーーじゃないないない!!!!


何、ノートに書いてるの!?

『好き』って!


私が誰を好きって?!

催眠術みたいに、自由帳にしているノートに書いてしまう私の手。
もう。思い浮かぶのは、あの人しかいない。


「俺?」
違う違う!!先輩じゃないっ!


魔王様が好きなの!!!

大声で言うけれど、その声は、私がいる部屋でしか聞こえない。
だから、幸い、誰も聞こえていなかった。


だって、灯と祐美に〝事情聴取という名の恋バナ〟を聞かされたし……!!!

あの、圧は……灯と祐美の圧は、……やばすぎた……!!

怜さんの鬼神顔と同等ぐらいだと思う……。
うぅっ!!あの顔を思い出すだけで、こ、怖い……!


……えっ?

私、今、なんて言った?




魔王様をーーーーーーーーーーーー







『好き』




ーーーーーーって言った?書いていた?


この私の頭は馬鹿でアホなのかと今、実感した。

いやいや!!実感してる場合じゃない!!


魔王様がーーーーーーーーーーーーーーーーーー




ーーーーーーーーーーーー嫌いです。

ーーーーーーーーーーーー好き、です。




どっちなの?


あぁっ……灯に聞いてとけば良かった。


何で、私、好き好き書いて、嫌い嫌いって言っているんだろう?

もう。諦めるしかないの……かな?


もう一回、灯に電話、してみるか!
いや、電話じゃなくて、私の部屋の反対側にあるんだから……!!

ま、聞いてみるしかないっ!!


ーーーーーーーーーーーーコンコンっ。


私は、灯の部屋の扉を片方の手で叩いた。


「ん?なーに?」

そんな声が、扉の前から聞こえた。