「……はい!大丈夫です!」
「……良かったぁ〜……じゃあ、俺は、楓がコーディネートしてくれた服を着てくるね?」
「……きっと…それ、熱いかも…しれません」
「……そう?……じゃあ、ダサい服着て、行こうかな?」
「……っ!?それはダメですよ!!先輩のモテるの下がっちゃいますから!」
「…そんなのどうでもいい。じゃあ、ダサい服着てこーよう!」
……えええっ!?
どうでも良いの!?
と思いながら、見ていたら。
「ちょっと!楓!どういうこと!?」
灯の声が私の席の前で聞こえる。
えっ?
私はその思いと一緒に、灯の顔を見る。
……!?
こ、この雑誌!???
「ど、どうして……持ってるの!??!」
そう。灯が手にしていたものは、私と魔王様と先輩が表紙となっている雑誌。
……前に撮った……やつだっ!?
嘘!?夢じゃなかったの!?
はい。秋風楓さんは、まだ、あの撮影は夢だと思っています。
そう。私が真ん中で、シンデレラみたいなとろんとした目で、1人の王子様が見ていて、もう1人の王子様は、シンデレラが見ている王子様を睨み、妬んでそうな顔で見ていて。
なぜか、それが、雑誌を経営している社長に良かったらしく。
発売が決まった。
……と灯に話してもらった。
「……夢じゃ、なかった……」
「はぁっ!?夢だと思ってたわけ!?」
「はい」
あっさりと私は灯に自白をしてしまう。
だけれど、灯は、私の顔で分かったのか、それは気にしていなかった。
「かっわいいよね〜〜俺のプリンセスは?」
ニヤニヤと笑っている姿が今にも、脳裏に浮かぶ。
……っ!!
「元はと言えば、先輩のコチョコチョのせいなんですからねっ!?」
「……楓。」
「……何っ!?」
不機嫌になりながらも、灯を見る。
「……いや、楓のおかげか、王政義數とAoBaのおかげか、今、この雑誌、幻になってるよ?」
「……そうそう。幻の雑誌とか、伝説の童話、雑誌とかで騒いでるよ?ネットが」
いつのまにか、祐美が、灯の隣にいて、そう言っていた。
「な、なにそれ……!?」
私は、口をポカンと開けて、灯を見る。
……幻の雑誌!?
……伝説の童話!?
びっくりするほど、ダサいけれど、ものすごく売れ行きがすごいということだけは分かった、秋風楓であった。
今日の夜、秋風楓は、楓の大親友2人に、“また”、楓の部屋で〝恋バナという名の事情聴取〟をされて、私の体とエネルギーがヘニョンへニョンになり、ぐったり疲れるのは、まだ、秋風楓は知らなかった。